令和4年8月に済生会明和病院院長を拝命した冨本秀和と申します。当院は明和病院、附属の重症心身障害児(者)施設なでしこ、特別養護老人ホーム明和苑からなる明和グループの中心施設です。ベッド数は264床ですが、そのうち回復期リハビリテーション病棟が180床を占めて、回復期リハビリテーション施設としては県下最大で三重県南部の拠点施設となっています。患者様の受け入れは県中・南部の急性期病院から主に脳血管障害、整形外科疾患を中心に受け入れを行なっています。このため回復期リハビリテーション病棟では、脳神経内科、脳神経外科などの専門医をはじめとして、循環器内科、整形外科などによる医師が、看護師、リハビリテーション技師などと多職種チームを組んで診療にあたっています。また、附属の訪問看護ステーション、居宅介護支援センター、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションでは回復期から生活期へのシームレスな移行を可能とするべく、患者様のきめ細かい療養支援を行なっており、地元医師会、地域包括支援センターのご支援のもとに地域包括ケアの実現に邁進しています。
健やかで生きがいを感じられる生活を支える
振り返ってみますと、厚生労働省は1989年に将来の高齢社会の到来を見据えて、ゴールドプランを策定し、特別養護老人ホーム、デイサービスの整備による在宅福祉対策を推進してきました。その後、この流れはゴールドプラン21、認知症施策推進大綱などの形で結実しています。わが国の高齢化率は当初のゴールドプラン策定時の15%前後から、2021年にはほぼ2倍となる29%に達し、百寿者の人口も全国で8万人と謳われています。私ども明和グループはこのような超高齢社会にあって、患者様が健やかで生きがいを感じられる在宅生活を過ごすことができるよう、医療とケアの両面から全力でお支えしていきたいと願っています。
私自身は脳卒中と認知症を専門にして、40年を超える臨床経験があり、脳卒中、認知症の専門医でもあります。脳卒中を起こすと患者様の3割が認知症を併発しますので、脳卒中予防は認知症予防にもつながります。認知症については現在のところ根本治療薬はまだない状況ですが、早期診断、早期介入はとくに重要で、行動・心理症状の早期治療、将来訪れることが予想される要介護状態に予め準備する転ばぬ先の杖(アドバンス・ケア・プラニング;ACP)が必要です。また、脳神経はいったん傷つくと修復が難しいので、未病の段階からの脳卒中・認知症予防も大事です。このため、脳ドックや市民講座による啓発事業などの疾病予防にも力を入れています。当院は立地する明和町、松阪市を中心として、超高齢社会の皆様が健やかな長寿を実現していただけるお手伝いをすることを使命と考えています。ご支援ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
済生会明和病院
院長 冨本 秀和